一日は長し、一生は短し

2007.09.11

その昔・・・

僕は大学卒業後、某監査法人に就職した。もう二十何年前の話になるのだが、当時、学生にとっては就職氷河期で、不出来な自分にとっては当然のことながら厳しい就職活動となった。

当時自分が住んでいた学生アパートには風呂がなかったので、就職活動解禁日前日に友人の下宿先の風呂を借りることにした。僕は根っからの無精者ではあるが、風呂も入らずに企業訪問するのはさすがに失礼と思いそうしたところ、な、なんと飛び込んだ風呂が冷め切ってぬるま湯になっていたのである。我慢して入ったものの、京の冷気が拍車を掛けたのか、翌日目を覚ました時には、頭ガンガン、鼻水ダラダラ、体ガタガタであった。それでも気力を振り絞ってリクルートスーツに身を固め、連日の会社訪問を予定通りこなしたが、就職活動という孤独な戦いと質の悪い風邪の苦痛で、アパートに帰るといつも本当に情けない気持ちになった。そんな状況だったので、就職活動は自分にとっては試練の連続であったが、捨てる神あれば拾う神ありで、思っても見なかった某監査法人が救いの手を差し伸べてくれることとなった。

ヒルティの幸福論に、「苦難は人を強くするが、安楽はただ弱くするばかりである。」という一節がある。僕が好きな言葉のひとつであるが、当時をふり返って考えてみると、試練多き就職活動は小さな苦労ではあったが、自分にとって貴重な経験だったと思う今日この頃である。

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