一日は長し、一生は短し

2008.05.20

どう思われるかより、どうあるか

 先日、来年3月に卒業する大学生の面接があり、ちょっと残念な話を聞いた。それは、彼の志望先である某企業の訪問時に、「うちはどんな事業でも取り組んでいくつもりだが、ただ一つパチンコだけは絶対にやらない」と言われたそうだ。

 その学生はいささかショックを受けたようであるが、僕としては未だにそういう偏見があるのを残念に思い、真面目に社会の一員としてがんばっている社員に対し申し訳ない気持ちを抱いた。同時に、会社の行動規範に定めているが、「良識・見識・モラルを中心に据え、人としての成長を培う」ことを、もっとしっかりやっていこうと改めて心に誓った。

  最近「人生生涯小僧のこころ(塩沼亮潤著)」という本を読んだ。奈良県吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)から大峯山の往復48キロ、高低差1300メートルの山道を、16時間かけて1000回(閉山期を除く毎日)往復する大峯千日回峰行という荒行があり、これを成し遂げた修行僧である塩沼亮潤氏が書き記した本だ。

 僕は昔山登りをやっていたから、これを達成することが如何に困難かよくわかるのだが、簡単に言えば、上高地から涸沢までを毎日2往復し、それを休まず毎日続けるに等しいことだ。さらに山道がきれいに整備されている訳ではないだろうし、地下足袋に袈裟をかぶっての登行となると、超人以外の何者でもない。

 その亮潤さんがこの行を通して感じたことをこう述べている。人間が生きていく上で一番大事なものとは、「足ることを知ること」と「人を思いやること」の二つだと。本当にその通りだと思う。それが当たり前のように持てる境地まではなかなか至れないだろうが、少しでもそういうことを意識して日々の仕事や生活を送りたいと思う。そう実践していくことで社会の見方も徐々に変わっていくのではなかろうか。

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