一日は長し、一生は短し

2008.08.04

燃えよバット!

 名古屋は連日の熱帯夜で、我がマンションの窓から吹き込む夜風は、実家で飼っている柴犬の息より熱い。それに加え、僕のすぐ隣に寝ている2歳の坊主は相変わらずのオッパイマンで、夜中に2度3度とそれを求めて夜泣きする。(俺の方が泣きたくなるよ・・・)

 こんな訳で、相変わらずの万年睡眠不足で、唯一熟睡できるのが東京へ出張した時の往復の新幹線の中だけだ。これも所要時間が短縮されて、睡眠の場としている僕としては、これ以上速くなるのは勘弁して欲しい。

 そんな体調の中、会社ではできるだけ体力を消耗しないようにと、最近はコアラのように自分の机にしがみついているところに声が掛かった。「社長、今日野球の試合があるんですが、もしよかったら、もしよかったら!・・差し入れでも持って来ませんか?」 

 来る事前提に声を掛けてくれるものだから、無下に断る訳にもいかず、「ガリガリ君」を何十本か買ってグランドに出向く。できる限り我家での夜戦に備え、体力を温存している僕としては、出場だけは御免被りたい。

 ただ、現実は往々にして望まない方に傾く訳で、「次、社長打ってください!」とみんなからピーピーやられる。「俺、革靴だし、スーツだと動きが悪くなるからやめとくよ」と適当な言い訳を並べて断るが、根っから動くことが好き(残念ながら、「好き」と「できる」は違うんだけどね・・・)な自分としては、グランドに立つと自然と体が燃えてくる。

 「じゃあ、1回だけ打とうかな」と、さっきから打ちたいばっかりの気持ちを抑えながら、ベンチのみんなの視線を気にしてバッターボックスに立つ。内心ドキドキだが、ベンチの視線には余裕を見せながら、1球目ボール、2球目内角低めにストライク。

 3球目の外より高めのストレートをたまたまバットを出したら、振り遅れて右側にライナーでファウル。「ナイスカット!」とベンチから声が飛ぶが、カットしようとしてカットした訳ではない。次の球はボール。そして運命の5球目。カ~ンと快音を残したボールは、ライナーでセンターの頭を超えていく。

 おっと、当たっちゃった!と思いながら、走り出したら僕は速い。連日の好天で乾ききったグランドを砂埃を立てながら一目散にセカンドへ。前のランナーがサードに止まっていなければ、当然そこまで走ったんだけど、まあ余裕でツーベースヒットだ。

 サードまで走っていたら多分滑り込んでいたと思うが、それにしてもスーツと革靴は真っ白になった。やるときゃやる!カッコなんて気にしていられない!でも、社員のみんなにはどう写ったんだろうな・・・?夜泣きとの戦いを控えた、まさに「にこにこ顔の命懸け」の野球だったが、こういうのもたまにはいいかな。

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