一日は長し、一生は短し

2009.06.01

キャプテン

 昔、キャプテンという漫画本があり、好きで好きで堪らなかった思い出がある。確か、中学校だか高校だったか忘れてしまったが、その学校の弱小野球部が、ある少年を中心にいろいろな苦難を乗り越えて、結束力の強いチームに生まれ変わっていくという話だったと思う。

 だいたい僕は、弱い方や人気のない方を応援するタイプで、そちらが相手をやっつけるというシーンに非常に熱くなる。ウルトラマンと怪獣が戦えば、最後には負けるとわかっているけど怪獣を応援するし、水戸黄門を観れば「この紋所が目に入らぬか~!」と言った瞬間に、「切るのは今だ!」と叫んでしまう。

 よくよく考えてみたが、これは性格が捻くれているのではなく、結局負けると思われている方が一生懸命がんばっている姿に、堪らなく感動してしまうのである。

 会社の社員でも、周囲からさして評価されていないと思われる人が、必死になって仕事に取り組んでいる姿に、僕は社長という立場を通り越して感動してしまうのである。

 ところで今日は何が言いたいかというと、一昨日我が母校が王者早稲田にラグビーの試合を挑んだものの、大差で一蹴されてしまったのだが、その後のノーサイドパーティーでの話である。

 その場で両校のキャプテンが挨拶する機会があるのだが、屈辱的な大敗を喫した我が母校のキャプテンはどういう態度で臨むのだろうと興味を持って待っていた。宴もたけなわ、パーティーの後半に彼が登場した。

 彼は試合で脱臼した肩を包帯に包み、本試合を設営した実行委員会や協会に感謝の弁を述べ、相手チームを称え、そして自分の仲間を労った。最後に大学選手権で再び対戦できるようなチームに成長させることを誓って挨拶を終えたが、これぞキャプテンという堂々とした姿であった。

 大敗を喫したとは言え、正面をキッと見つめながら堂々と話す彼を見て、間違いなく近い将来雪辱できるチームに立て直してくるだろうと僕は確信した。

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