一日は長し、一生は短し

2009.11.06

技能の前に人格

 先のプロ野球ドラフト会議では、花巻東高校の菊池雄星投手が6球団の指名を受け、西武ライオンズが交渉権を獲得した。

 中日ドラゴンズファンの自分としてはちょっと残念ではあるが、江夏豊や江川卓の両投手のように観衆をわくわくさせるようなピッチャーに育ってほしいと思う。

 ところで、周知のように彼は投手として最高レベルの才能や技術を持っているが、同時に人間としても一流の人格者だと思う。

 話によると高校生活の3年間、トイレ掃除を欠かさなかったそうだ。他人が使用した便器を素手で洗うというのは、なかなかできることではない。それを当たり前のようにできるところが人間としても別格で、そういう人間性であるからこそ、身に付けた高度な技術を必要な状況で発揮できるのかもしれない。

 同じように、プロゴルファーの石川遼選手。彼はプレイ後に風呂に入り洗面台を使用した後、飛び散った水滴や髪の毛を必ず綺麗に拭い取るそうだ。

 それはマナーと言ってしまえば当たり前のことであるが、その当たり前の事ができない大人が多い中で、若干18歳の少年が後に使う人に気を遣う。掃除する人の身になって考える。さすがだと思う。

 先日のトーナメントの最終日18番ホール。優勝争いから脱落した石川選手は、それでも最終のロングホールで2オンを成功させ、見事イーグルをもぎ取った。

 雨がざあざあ降る中、同組で回っていた鈴木選手が優勝を決めるパットに臨むシーン。プレーを終えた石川選手に対し、彼のキャディが気を利かして傘をさそうとした。

 ところが、石川選手は要らないというしぐさをして、雨に濡れながら鈴木選手の優勝への最後のプレーを見守っていた。

 優勝に挑む者が雨に濡れながらのプレー中に、自分が傘をさすことを失礼と思ったのか。近くで傘をさしていると、それに当たる雨音がうるさくプレイに悪影響を与えると思ったのか。それ以外の理由なのか。それはわからないが、彼は戦う相手に敬意を払っていたのは間違いない。

 すばらしい能力を発揮する為に一流の人格を持つ。まさにこの二人はそれができているお手本だと思う。彼らのような人たちが増えてくれば日本は変わると強く思う。まあ、その前に僕も、彼らを見習って歳相応の人格を身に付けねばと反省しながら。

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