一日は長し、一生は短し

2010.07.27

こころの処方箋

 今朝のニュースの中に、両親が小4の長男に9時間の暴行を加え、その男の子が重体に陥ったという記事があった。

 9時間という長時間、逃げ出すことすら頭に浮かばない小さな子供が、恐怖と痛みに耐えている状態を想像すると、心が痛むと共にやるせない気持ちになる。

 以前がどうだったか確かなことはわからないが、ここ数年、同様の事件を連日目にするような気がする。日本の親の象徴、あの「おふくろさん」は、一体どこへ行ってしまったのだろう。

 戦後、日本は経済的には豊かになったけれども、逆に心は貧しくなってきているのではと思うこともしばしばだ。経済至上主義や行き過ぎた個人主義の台頭は、時には心のあり方を見失わせる。

 魚が水の存在に気付いていないように、家族が存在して自分がいること、他者の働きで自分の仕事ができること。そういうことに気付いていない人が増えているのではなかろうか。 

 家族の健全な成長や組織の健全な発展の為には、まずあるべきは健全な心だと思う。健全な心とは、他者を思いやること。感謝すること。全体を考えること・・・。

 少し前に読んだ本で、河合隼雄さんの遺作と言われる「泣き虫ハアちゃん」。そよ風に乗って漂ってきた金木犀の香を嗅いで、心がホッとした時の感覚。読後に、そんな気持ちにさせられるすばらしい本だが、人が大切にしないといけないことは何なのか。そんなことが詰まっている本だと思う。

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