一日は長し、一生は短し

2012.12.26

【新訳】鉄舟随感録

 クリスマスという、子どもにとって1年の最大イベントが、今年も無事終わった。

 我が家に来訪するサンタクロースは毎年変わるようで、今年のサンタはどうも優しくなかったようだ。

 長旅の疲れを癒してもらおうと、イブの晩に玄関に用意していたチョコレートには手も付けてないし、写真を撮ってもらうよう手紙に託したにも拘らず、置いておいたカメラには何も写っていないし、メールアドレスか住所を教えてくれるよう頼んだのに、こちらも何も書いてくれなかったようだ。

 おまけに、学校で使っているような大きな黒板をプレゼントしくださいと、何度も何度も祈り続けたのに、置いてあったプレゼントは違うものだったりで。

 サンタクロースも次から次といろんな家を回らなきゃいけないし、そんな大きな黒板は我が家に掛けるスペースもないしと慰めても、三女のがっかり感は相当なものだ。

 それで、翌日、学校で友達にその話をしたらニタニタ笑われたようで、その笑いの意味がわからないので、腹立たしく思いながらもニタニタ笑い返したそうだ。

 まあ、そんな訳で、今年のサンタは不人気で、来年は違うサンタに来てもらうとのことで一件落着ということになった(笑)。
 さて、平成24年も残すところ1週間を切った。会社を引っ張っていく最高責任者としては、大変不甲斐ない1年であった。しかし、こんな社長に対しても、忠実に業務を遂行してくれ、また支えてくれた会社の仲間や取引関係の皆様に感謝したい。

 今年もジャンル問わず、いろいろな本を読んだが、自分の中でのベストブックは、「【新訳】鉄舟随感録」(PHP)である。

 幕末の三舟の一人、山岡鉄舟は江戸城無血開城の立役者として名を馳せたが、同時に書と剣と禅の道を究めたことでも有名である。

 明治の終わり、この鉄舟の随筆や随感を編集した「鉄舟言行録」という本があるそうで、その後、内容を同じくして昭和になって出版された「鉄舟随感録」の中から、いくつか厳選して現代語訳と原文と解説を付したのが本著である。

 自分を戒めるため僕の机に飾ってある「修身二十則」は、自分の行いを正そうと鉄舟若干15歳の時に記した覚書であるが、人として持つべき道徳観として、混迷する日本に今こそ必要とされるものではないだろうかと思う。

 剣を究めるため常に次元の高い相手を求め、本当に究める為には心と胆力を練磨しなければと禅や書に切磋琢磨し、24歳の時に既に死生観を語り、維新に殉じた人々の菩提を弔うために東京の谷中に「全生庵」を建立し、最期は皇居に向かって座禅したまま絶命したという、まさに精錬という言葉が相応しい人生を歩んだ人である。

 一方で、英雄色を好むと言われるが、鉄舟もその言葉の如く何事に対しても豪傑だったそうで、通してその数は・・・、失礼! まあ、人間らしくて、かわいい面でもなかろうか。

 人間、自分の意思で誕生する訳でもなく、また一般的には自分の意思で死ぬ訳でもない。だから人生は天命と自覚し、大切にしながら社会の為に生きる事が大事だ。「命懸け」という言葉があるが、それは命を粗末にすることではなく、万が一命を落としても後悔しないぐらい懸命にやる。そういうことを教えてくれる本である。

 今年は今年として、来年はより一層、そういう気持ちを強く持って仕事に精進したい。

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