一日は長し、一生は短し

2013.07.29

暑い夜、熱い夜

 先の週末は真夏を想わせる猛烈な日差しと共に、もくもくと湧き上がる入道雲が空一面に広がっていたが、テレビのニュースによると梅雨明けということらしい。例年、梅雨明けは7月半ば辺りなので、今年は随分早い梅雨明けとなった。

 僕の場合、夏と問われれば答えはビールとなるが、ビールの売上は気温1℃の上昇で、100万本増えると言われている。確かにこの数日、風呂上りの缶ビールは、一本では物足りなくなってきたような気がする。パチンコ店も気温が1℃上がれば、来店されるお客様が100万人増えるとなれば嬉しいが、そういうデータは果たしてあるのだろうか。

 さて、この蒸し暑い夏。夜はなかなか寝付けないが、そんな日は、本を読むかテレビで映画を観て過ごす。昨晩は、WOWOWプライムで面白い番組をやっていて、最後まで見ていたら深夜2時半になってしまった。

 映画といえばハリウッドが代名詞だが、最近ではインドも映画作りが盛んで、世界的にヒットしている作品もあるようだ。日本映画も黒澤作品を筆頭に、北野作品も世界的に評価が高いし、スタジオジブリの作品は秀逸だ。

 僕は知らなかったが、アフリカの大国、ナイジェリアも映画作りが盛んで、年間製作本数は実に2000本を超え、アメリカの「ハリウッド」、インドの「ボリウッド」と並び、「ノリウッド」と称されるそうだ。

 ところが制作費は驚くほど低予算で、制作期間も実に短い。昨日の番組で取り上げられていた作品は、予算100万円、制作期間10日間という、日本では趣味の範囲と言われてもおかしくないぐらいのローコスト作品だった。

 しかし、この映画を作るために注ぎ込まれるナイジェリアの若者の情熱がすごく、恵まれない条件や環境の中で、創意工夫を重ねて名作に仕上げていく。予算が限られるので、撮影機材は借り物だし、俳優人も知り合いに安く依頼するという具合だ。

 急速に経済成長を遂げ、富裕層が増えていく一方、貧しい人達の生活はなかなか改善されないが、それでもみんな本当に明るい。おんぼろワゴンに撮影機材や衣装を詰め込んで、出演者と思わしき人やスタッフが乗り合わせて撮影現場に向かう。その道中、思わず歌が出てしまうぐらい、みんな楽しんで仕事をやっている。制作期間が10日間なので、撮影は深夜に及ぶし、編集作業も同時進行だ。そんなハードスケジュールでも、誰も文句言わないし、最後のシーンを取り終えた後の満足そうな顔。ここでは思わず踊りが出てしまう程だ(笑)。

 たったひとつの映画のプロジェクトだけを取り上げて、ナイジェリアの映画産業すべてを語ることはできないし、勿論ナイジェリアの国民がわかる訳ではない。

 しかし、国が発展していく中で、恐らく、総じて皆が持っているもの。番組を通して、僕はそれを見せられた気がした。それは「希望」。貧しいながらも、自分たちの未来に希望を持っている。果たして、日本の若者がどれだけそれを持ち合わせているだろうか。そんなことを考えさせられたドキュメンタリーである。

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