一日は長し、一生は短し

2022.09.16

読書あれこれ

高校生の頃、将来の夢が作家だった私は、多くの著名な作家を輩出している早稲田大学第一文学部を目指していました。

目指していたというだけで、所属していたクラスは理系で、受験勉強は殆んどしていませんでした。

理系にいたのは、理系から文転は比較的容易なのに対し、文系から理転は困難だという理由からです。

今思えば優柔不断で、そんな気持ちでは志望校に合格できなかったのは当然だったと反省しています。

ところで、子供の頃、私は絵を描くことが好きで、四コマ漫画にも数回応募したことがあります。

自分では良い出来栄えだと思っていましたが、入選には程遠かったと思います。

それでも図画工作が得意で、水彩画では名古屋市から表彰されたこともあり、将来は芸術家か建築家を夢見ていました。

そんな絵描き少年が読書に興味を持ち始めたきっかけは、「十五少年漂流記」です。

小学生の頃、余った机やイスを積み上げてある場所が校庭の一角にあり、そこを基地にしてよく遊んでいました。

そういう遊びを通して冒険心を育んでいた私にとって、「十五少年漂流記」はとても刺激的で、引き込まれるように読んだ覚えがあります。 面白い本は、ページが進んで読み終えてしまうのを考えると寂しくなりますが、この本は私を初めてそんな気持ちにさせた本でした。

小学校高学年になって専ら読んでいた本はギリシャ神話です。

「星の会」という名古屋市科学館主催の会が毎月開催されていて、そこに毎回参加していたことがギリシャ神話に興味を持ったきっかけだと思います。

中学に入ってからは、北杜夫さんのどくとるマンボウシリーズ、星新一さんのショートショート、井上ひさしさん諸々、五木寛之氏の「青春の門」等々、当時のベストセラーを片っ端から読みました。

こうして思い返してみると、読んでいた本は、冒険や未来をテーマにしたものが多く、所謂純文学は殆んど読んでいないことに気付きました(笑)。

大学時代は京都にいたこともあり、歴史ものばかり読んでいて、特に新撰組に関する本は小説から研究本までいろいろ読みました。 ちなみに新撰組では、土方歳三と山南敬助が好きです。

豊丸産業に入社して数年経った頃、取引先の社長がPHP文庫を創刊からすべて読まれていて、それを聞いて自分も読破することを決意し、会社で定期購読を始めました。

仕事の傍ら、猛烈な勢いで暫く読んでいましたが、徐々に新刊の発行速度に追いつかれ、目標を断念し定期購読を中止しました。

社員にも読書を勧めるため、何年も食堂の本棚にPHP文庫本を数百冊並べていましたが、あまり読まれている形跡がなく、すべてブックオフ行きとなりました(笑)。

今までいろいろなジャンルの本を読んできましたが、最近は漱石や太宰等、純文学や古典の類を、恥ずかしながらこの歳になって初めて読み始めています。

その中で、心の中にスーッと入った本が、岡潔さんの「春宵十話」(角川ソフィア文庫)です。当時は随筆、今で言えばエッセイになると思います。

古い本で時代背景も違いますが、共感することが多く、心の中で頷きながら読みました。

最近では目が悪くなり、本を読むと肩が凝り、古い本だと漢字が読めず、海外文学だと登場人物の名前が覚えられず、読書は根気のいる趣味になってきましたが(笑)、これからも自分のペースで楽しんでいきたいと思います。

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▲自宅の書斎の一部

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